あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

詩人大手拓次

SNS時代、最高の出会いとして挙げた今井杏太郎「魚座」俳門に、新しく詩人大手拓次を加えたい。フランス象徴詩を学ぶ上で追いかけたいと感じていた詩人はランボー、そしてその翻訳で知られる西条八十だった。だが、大手拓次とボードレールに出会い、彼ら…

真善美ふたたび

千首詠におけるさまざまな試みは、貴重な学びである。そのひとつに歌における虚構性がある。一例として入社したころの体験を記す。 象徴を提唱する結社であるからだろう。印象深い語彙の選択は三十一音の短文においてある意味、必須となる。指導者もその要所…

連作

連作とは、「一人の作者が特定の題材に基づいて複数の作品を作り、全体としてもある程度まとまった作品とすること」(ウィキ)。 自分の短歌連作に対する考え方が結社内のそれとまったく異なることもあり、母から説教されそうになったことがある。わたしの 2…

雅俗

「俗」を「無限の可能性を秘めるもの」と定義して、ここでは雅俗を「伝統に対して新しくなおかつ雅を有するもの」としたい。そう実感している対象は、英国人の現代作曲家 John Rutter の教会音楽である。モーツアルトなども美しい教会音楽を創作しているが、…

上下周囲

ふと思ったこと。求めるものは、高さ、深さ、広さの三つ。 上へ向かって高みを極める。独学による自分らしさの追究。 下へ向かって深さを掘り下げる。古典学習による知識の追究。 周囲に向かって広げる。現代から学ぶ社会の中での今の追究。 現在、2に夢中…

枕詞

高校古文の参考書『古文研究法』に、枕詞の解説の後、次のようにあった。 …どうせ意味に関係ないのだから、わざわざ使わなくてもよいような感じがするかもしれないけれど、枕詞をうまく使うと、理屈ぬきに美しい「しらべ」が生まれる。 「理屈ぬきの美しいし…

真名と仮名

男の子だからと弟は真名、女の子だからとわたしと妹は仮名、にて命名された。歌の歴史を紐解けば、この命名は、男性のたしなむ漢籍に対して女性の遊ぶくずし字という発想の下にあったことが分かるわけで、昨今のジェンダー論争でやり玉にあげられそうなテー…

比喩

結社に入社したての頃。歌会で比喩について「直喩は避けよ、隠喩を用いよ」と徹底された。この指導者のひとつの方針だったが、これが今も体に染みついてしまい、「~やうな、やうに」「~のごと、ごとく」などわたしは直喩が使えない。 作歌するときに言葉を…

象徴詩歌のルーツを探る 枕草子の存在

以下、寄稿としてまとめた。 「源氏見ざる歌詠みは、遺恨のことなり(「源氏物語」を読まない歌人は、とても残念に思われる)」。藤原定家の父で鎌倉初期に中世和歌の礎を築いた藤原俊成は一一九三年、六百番歌合(冬上十三番「枯野」判詞)にて、日本の精神…

歌物語

物語に歌が挿入してあるだけで、ストーリーに濃淡が表れ、ぐっと深さが生まれると感じる。『西行花伝』には折々に三十一字が置かれており、歌の持つ力がたたえられている。 心酔したのは十三帖。吉野から綴った桜についての西行の書簡の箇所である。美しい文…

日本語が痩せていくとは

言葉は、時代の移り変わりとともに変遷する。古語が失われて新語が登場することは歴史の繰り返しだろう。ただ、情報革命というパラダイムシフトに置かれた現代は、かつてないほどの大きな変遷を体験していると思う。今が過去と決定的に異なるのは、やはり情…

©akehonomurasaki