あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

和漢の后

なぜ、春は「桜」ではなく「曙」なのか。ずっと探していた『枕草子』にかかわる謎の答えが、人気の話題作『枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い』に記されていた。 中宮定子への敬愛と鎮魂を目的に書かれた『枕草子』は、その意図のとおり、…

三多

短歌投稿サイト「うたよみん」に参加して、「三多」の実践が容易になった。三多とは大辞林によると「文章の上達に必要な三つの条件。すなわち、文章を多く読むこと(看多)、多く書くこと(做多=さた)、多く推敲すること(商量多)」。これは何も文章に限…

俳句の世界

『日本文学史』を知って以来、著者の書籍は可能な限り購入した。そのうち、最も愛読している一冊が『俳句の世界』である。アマゾン書評欄でも言及されているように、「俳句史はこの一冊で十分と絶賛された不朽の書」の謳い文句に偽りはない。深さ、面白さ、…

投稿サイト

短歌投稿サイト「うたよみん」は、詩歌の新しい可能性を秘めたコミュニティだ。 まず、縦書き。これでもうほぼ 100 パーセント、日本的詩歌の電脳空間における課題を克服できたのではないか、とすら思う。特に短歌は上から下へと流れる叙情が生命線なので、…

芭蕉とつながる

タイトルを「あけほのむらさき」と決めてまもなく、「曙」と「紫」の二語が登場する句と遭遇し瞠目した。それは、松尾芭蕉が紫式部ゆかりの石山寺を訪ねた際の一句。十七音にぴたりと収まり、夜明けの宝石のような美しい空間を表現している。 瀬田に泊りて、…

中宮定子へのオマージュ

「あけほのむらさき」というタイトルは、中宮定子へのオマージュである。「面影」や「気配」といった直接に語らずして心情を描写する「不言の言」の精神文化は、『源氏物語』が由来とされている。その大長編に影響を与えたと言われる『枕草子』は、今からほ…

喝!

結社に所属する一介の歌詠みとして、歌の道の端っこを歩んでみたいと思い始めたのはつい最近のことだ。現在同人。とはいえ年会費を支払いながら忙殺を理由に欠詠の続いた期間は長く、振り返れば出詠期間と欠詠期間がほぼ半分半分か。 「コップ半分の水」の状…

なぜ詠むか

その一、後世へ残すために歌を詠む。 とりあえずの目標は、百年後にも詠まれている歌、残る歌を作ること。欲を出せば、千年の歳月に永らうるかの希望もかすかに抱く。どのような歌が時代の風雨にも色褪せず輝けるのか、に最大の興味がある。自ら確かめるすべ…

©akehonomurasaki