あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

三多

 短歌投稿サイト「うたよみん」に参加して、「三多」の実践が容易になった。三多とは大辞林によると「文章の上達に必要な三つの条件。すなわち、文章を多く読むこと(看多)、多く書くこと(做多=さた)、多く推敲すること(商量多)」。これは何も文章に限らず、input-output-revise/refine の繰り返しで向上を図る基本として、仕事や人生で上達を目指すことすべてに適応が可能。歌の道も然りである。しかしながら、自分の場合、わかってはいるがなかなか実行に移せない、続かない…。そんな矢先、このサイトが救世主になってくれた。

 まず、看多。とにかくサイト全体の掲載量が多く、すべてに目を通せないと感じるほどだ。実際、すべてを読むことは目的としていないのだろうとも思う。歌や言葉は「拾う」という属性を持つものであるし。いずれにしても、歌に関わる新しい「座」がここに誕生したことは確か、と見た。感想コメントで交流する時間はなかなか持てないが、作者の視点や言葉の選択を確かめながら、たくさん読むことで刺激を受ける。

 次に做多。結社で毎月 7 首の出詠で済ませていたことが、一日 、3 ないし 4 首の投稿で月産約 100 首が可能になる。しかも、投稿すると瞬時に反応があるので、一人で試行錯誤しながら作歌している場合とでは気持ちの持ち方がだいぶ変わってきた。「よいね!」の反応をいただいたり、いただかなかったりして、何より一首一首を客観視できるようになった。これは、意外な収穫だった。

 そして商量多。自分の場合よくある例が、結社誌上の掲載歌を見て「こうすればよかった」と後悔すること。一旦印刷されてしまったのだから、次は歌集でも出版しない限り、その悔しい気持ちを持ち続けることになるのだが、こちらのサイトでその悔いに決別した。結社誌の掲載歌を 2 首ほど推敲してこちらに再投稿してみたのである。これには、気持ちが満たされた。

 多忙やらなにやらを言い訳に、これまで歌は散逸しているものも多い。けれど、こちらで投稿を続けながら、整理していくのもいいなと思った。旧詠を推敲して投稿する以外、結社への詠草とは重複させないつもりでいる。「うたよみん」では題詠、結社では連作を目指す。

©akehonomurasaki