あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

なぜ詠むか

 その一、後世へ残すために歌を詠む。

 とりあえずの目標は、百年後にも詠まれている歌、残る歌を作ること。欲を出せば、千年の歳月に永らうるかの希望もかすかに抱く。どのような歌が時代の風雨にも色褪せず輝けるのか、に最大の興味がある。自ら確かめるすべはないのだが。とにかく、試行錯誤を繰り返す。

 その二、まことを学ぶために歌を詠む。

 四季の移ろいを自然体で描写することにより、自らの客体化を具現する。心と言葉と行いを一つにし、澄明な気持ちで自然観照を試みることは、人間としての成長に直結する。まことの人になるために、歌を詠む。

 その三、贈るために歌を詠む。

 花を贈られたらうれしいように、歌を贈られたらうれしいと感じる人もいるだろう。誰かのために歌を詠む。

©akehonomurasaki