あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

喝!

 結社に所属する一介の歌詠みとして、歌の道の端っこを歩んでみたいと思い始めたのはつい最近のことだ。現在同人。とはいえ年会費を支払いながら忙殺を理由に欠詠の続いた期間は長く、振り返れば出詠期間と欠詠期間がほぼ半分半分か。

 「コップ半分の水」の状況に似ているかもしれない。「半分」の捉え方により思考の方向を確かめるのである。コップに水が…「半分も入っている」のか、「半分しか入っていない」のか。つまり、結社で歌を…「○年間も詠んできた」のか、「○年間しか詠んでいない」のか。

 もちろん悲観的な自分のことなので、心情は後者につつまれている。でも、一方で、これは歌だから仕事ではない。空白も必要だったと生ぬるい発想に慰めてもらう楽観もどこかに持ち合わせていたりする。喝!

 歌は、言葉で絵を描く時間。これが楽しい。情に絆されるところも面白い。ささやかな呟きこそ輝きを放つ。どうなるかわからない無限をはらむ俗から、永遠へと連なる雅を生み出せたらいい。よって、試行錯誤。同時に散文も、と欲張る。歌の周辺に目を配りながら 、自らの客体化を目指す目的のもとに表現したい。

邂逅

©akehonomurasaki