あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

敗者の文学

ここまで論文読書を重ねて見えてきた事実は、『源氏物語』は勝者の文学であり、『枕草子』は敗者の文学という視座である。藤原四兄弟で、定子の父である長男道隆(中関白家)が病没し、彰子の父である末弟道長(御堂関白家)が権力を手中に収めた政治的背景…

「蛍」からの考察

飯島裕三氏の「蛍」の箇所における考察が非常に印象的だった。以下メモ。 夏は夜。月のころはさらなり、やみもなほ蛍飛びちがひたる。雨などの降るさへをかし。(能因本) 夏は、夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ…

写本と校註

藤原定家の日本文学における功績は計り知れない。だが、その功績のおかげで、真実が後世に伝わらない現象が生じてしまう。それは平安朝文学で起きている。 例えば定家校註の『源氏物語』において言葉の使用などを問題にする場合、定家写本と言われている三巻…

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