あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

2020-07-23から1日間の記事一覧

春日遅遅―『枕草子』「三月ばかり、物忌しにとて」の段の贈答歌―

繊細な感性で本文を読み解き、鮮やかに謎を解明する。圷美奈子氏の論文「春日遅遅—『枕草子』「三月ばかり、物忌しにとて」の段の贈答歌」を読了し、鋭い洞察に圧倒された。氏の強みは和歌の読解、解釈力である。従来、研究の主眼が三巻本に置かれている中で…

敗者の文学

ここまで論文読書を重ねて見えてきた事実は、『源氏物語』は勝者の文学であり、『枕草子』は敗者の文学という視座である。藤原四兄弟で、定子の父である長男道隆(中関白家)が病没し、彰子の父である末弟道長(御堂関白家)が権力を手中に収めた政治的背景…

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