あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

文語と口語

 口語短歌花盛りのコミュニティにあり、未来の三十一文字の姿を示してもらっている気持ちになる。現代において直情を発露するには、会話的口語表現はもっとも強い言葉の力を持つ。ただ巧く定型にはまる場合はいいのだが、はまらない場合には一瞬にして歌ではなくなる危険性も孕む。

 観察してみると、口語は定型に収めることが困難な場合が多い印象を持つ。そこで登場するのが古文の助動詞であろう。少ない音数で気持ちを表現しようとするときに威力を発揮する。あまりにも古めかしい助動詞はコミュニケーション不能に陥ってしまうので考慮すべきだが。

 口語調で流れるような調べを持たせるにはどうするか、試行錯誤だ。新仮名口語は積み木を並べているイメージ。横書きでもしっくりとくるし、歌意が即理解できる。漢語調を除く旧仮名文語は上から下へ下へと流れる調べなので、縦書き必須。横書きにすると情景が崩れる。

©akehonomurasaki