あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

気になる花に菫がある。芭蕉と漱石の句で好きになり、赤人の歌でさらに、三十一文字にて詠まれる菫にも惹かれるようになった。 山路来て何やらゆかし菫草(松尾芭蕉) 菫ほどな小さき人に生まれたし(夏目漱石) 春の野にすみれ摘みにと来しわれそ野を懐かし…

橘は古典において多く貴く扱われている。 漢詩人である後中書王具平新王は次のように詠じた。 枝には金鈴を繋(か)けたり春の雨の後 花は紫麝(しじゃ)を薫ず凱風の程(和漢朗詠集・夏、橘花) 清少納言は、 花のなかよりこがねの玉かと見えて、いみじうあ…

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