あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

歌集

 一般的に理解されている形態の歌集について、日ごろ思うこと。個人的に、興味はない。思い出として残すのであれば、家族向けへの家集として編集し、家族以外には渡らないものとする。歌集とは本来、家集であったはず。

 紫式部集が 126 首、藤原俊成の長秋詠藻が 467 首だそう。写本の時代であったからこその数字だが、それにしても、現代人は贅沢だと思う。昨今は歌集を出版して社会的な活動を証明することが一人前の歌人として必要なことなのかもしれないが、生涯を通して何冊も歌集を編むことに自分はそれほど価値を見いだせていない。断捨離時代にあり、より精選した歌集が求められるのではないか。時代を代表する珠玉の名歌、秀歌とは。300 年くらい先の未来に判断されるのだろう。

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