あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

疫の時代に

 疫の時代に、もっとも大切なことをみな思考している。健康を維持する食事、運動、睡眠など身体機能に関わる行動はさておき、これ以外で恵みを受ける活動は読書であろう。

 本は好きだが、かなり偏っている。

 創作と評論では、評論を好む。認識したい対象が豊富な情報とともに語られており知識を耕せる。創作はかなり好き嫌いが激しい。詠歌の際、自分の心地よさが尺度になるのだが、創作の読書も結局どれだけ心地よさを確認できるか、どう感じるのかというHow ばかりの読書となる。

 たとえば、小説やエッセイの場合、誰が何する、何がどうなる…など展開は割とどうでもよく、魅了されるのはどう表現されているかということだ。つまり一章に魅力的な表現が数行あれば、そこばかり繰り返し読んでしまうような読書である。

 購入はアマゾンを頼りにするしかない。当たり外れが大きいため、小説はほぼ購入しない。ずっと詩歌に触れていた副産物かもしれない。肌に合わないと長い文章に耐えられない。感性に左右される。多読はできず、精読しかできない。

 心地よさの維持が読書の目的であり、よって目的は遂行されている、ような気がする。

©akehonomurasaki