あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

飽きない

 ツイッターのタイムラインに自らの飽きやすい性格を嘆いているツイートが流れていた。

 飽きる。

 飽きない。

 そういえば歌は飽きないなあ、とあらためて感じ入る。その理由とは。しばらく考え、回答は定型にあると思えてきた。

 つい先日、57577の定型で「心が弾む」と記した。心が弾む理由は定型とその長い歴史のおかげだろう。定型に沿って調べを整え、言葉を選ぶ面白さ。音韻や修辞が、連綿として続く伝統を支えてきたのだ。古典の抱く共同連想には心が震えてしまう。古の誰かとつながる心地よさは筆舌に尽くしがたい。

 これだけ途絶えなかったのは、誰もみんな飽きなかったから。意外にも普通なことを突如認識し、千歳の時の流れがさらに愛しく感じられた。

©akehonomurasaki