あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

駄作

 今井杏太郎の言う「駄作も必要」の意味が、異なる角度から見えてきた。「つぶやけば短歌」を実践する凡人である以上、駄作ばかりである。以前数えてみたら納得できる歌は1割ほどだった。しかも自分の場合、花鳥詠しか興味がないので、毎日、自然ばかりを詠んでいると限られたコーパスにおいて言語感覚に限界が来る。さらに悪いことに、和語しか使いたくない。苦しくなるはずである。

 でも、この「苦しみ」を味わうことが千首詠の目的であるし、続けるための「駄作も必要」のひとつの意味だろう。母から飛んでくる助言にも納得した。「いろいろな分野から詠め」と。花鳥詠の語感を研ぎ澄ますために、他分野での駄作が必要だ。

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