あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

三十一文字の詩

 短歌投稿サイト「うたよみん」のおかげで、歌が身近になった。詠めば詠むほど三十一文字があふれ出てくる。当然、玉石混淆。それでも 7 月分詠草に数種類の連作が生まれ、どの 7 首を送ろうか迷ってしまうほどだ。かつて、一度にこれほど大量の歌を詠んだことはなかったと思う。というわけで、この助っ人サイトの偉大さである。読み、思考、詠み、推敲の過程から言の葉が浮かぶ。詠み散らかしても、後で詠み直すという流れが生じつつある。これは、良い習慣だ。引き続き投稿しようと思う。(多少の推敲がまだ必要ではあるが。)

 他にも奏効していることがある。たとえば、「この一首!」的な名歌とは何かと意識するようになった。自分の代表歌を挙げるとしたら…。周囲を意識した選歌であるべきなので、自分の好きな一首とは異なり、これがなかなか難しい。

 また、恋歌、青春、共感系短歌のにぎわうこのサイトで自分の歌が一貫して浮いていることにも気づく。どこが異なるのかといえば、直情でないところか。題詠という理由もあるだろう。いずれにしても、そこで見えてきた風体が、自分の三十一文字は「歌」ではなく「詩」ではないか、ということだった。たしかに、詠む事象を心で感じるというよりも心から一歩離れて外からしんと観察している自分がいる。自分の場合、視点が歌人というよりも詩人かもしれない。よって形式は短歌だが、詩という、あるいは、詩歌と呼ぶのが相応しい定型詩かと感懐を抱く。三十一文字の詩である。

 継続する。

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