あけほのむらさき

花も鳥もこころの旅にいく昔いくうつりして春はあけほの

Utakata など

 新しい短歌投稿サイト「Utakata」が開設され、登録してみた。本来あるべき林立する歌の姿に惹かれた。コメントのやりとりやタグ記載が無いので、結社誌と同じようにただ歌を詠み鑑賞することができる。ルビが振れるのも結社誌っぽい。少し極端かもしれないが、選者不在の結社誌のような感じだろうか。(かなりストレートな現代短歌という感じだが、こういうものなのか?)タイムラインでの投稿であり、掲載は入稿した順。個人ページを見ると作者の全作品を一覧できる。

 だが、タイムラインは、まず、連作には不向きだ。新しい投稿短歌から鑑賞すると、後列の歌から読むことになり順序が逆になってしまう。連作投稿だと知る人のみにしか味わうことができない。しかしながら、タイムラインは未来の短歌投稿の形態であることは間違いないと思うので、鑑賞者も連作の場合は、古い投稿から順に読むことに慣らされるのだろう。あるいは、順序を逆にして投稿する、か。

 結社がこの形態に移行できるのは、五十年か百年後ぐらいか。もちろん、原稿用紙での入稿は続けるべきだと強く感じるが、いずれそれも消えてゆくのかもしれない。毛筆、手書きからペン、印刷に変わっていったように。歌評のやりとりでのタイムラインの利用は合評会などで効果が期待できそうだ。修正機能はいずれスタンダードになるだろうということで、随時推敲が可能となる。いつでも修正可能な気軽さから言葉についてあまり深く考えずに投稿する場合が増えるかもしれない。これはマイナスだが、そのような変革の中でも偉大な歌人は常に言葉に敬意を表するものなのだろうなと思う。

Utakata

©akehonomurasaki